スピーキングとリスニングの関係
前回、英語学習法のその3で説明しているリスニングと今回のスピーキングの関係は非常に大きいと言えます。相手が言っていることが聞き取れなければ、ことばを返すことはできません。相手の言っていることが理解できて、初めて会話は成立します。スピーキング力を高めるためにはまずリスニング力を高める必要があります。この点で、スピーキングはリスニングに裏打ちされて確かなものになると言ってもいいでしょう。そのためには聞いてわかる語彙を増やし、発音やアクセントの規則を学び、正しく発音する練習をしましょう。本を読むときは黙読ではなく、常に音読するように心がけましょう。
スピーキング力の必要性
スピーキング力はなぜ必要でしょうか。歴史を振り返ってみれば、江戸時代260年以上にわたって鎖国政策を取っていたため諸外国との接触を避けてきました。そのため、西洋諸国から取り残されたことに気づいた明治政府は、西洋の文化を吸収するために急遽書物などを翻訳する必要性が生じました。学校でも、もっぱら文法・訳読の授業が中心となりました。しかし、時を経て21世紀に入り、ますます社会がグローバル化していく中で我が国が様々な分野で国際競争力高めていくためには、Listening & Speakingの実用的な運用能力が求められてきました。日本の企業が他国の企業と競合していくためには英語を駆使し、お互いに理解を深めていく必要があります。中国や韓国では海外のメディアや国連の広報機関を使って自国のスタンスを海外にさかんにアピールしています。これに対して、日本は海外向けの情報発信量が少ないように思います。
これからは入試にスピーキングテストも課される
大学の入試に初めてリスニングテストが導入されたのは2006年(平成18年)「センター試験」のときですから、17年前のことです。現在の「大学共通テスト」でもリスニングテスト100点、読解力テスト100点で配点されています。以前は、リスニングテストは50点であったように思います。このことから英語の運用能力を重要視するようになってきていることは間違いなさそうです。一方、都立高校では先駆けてスピーキングテストも課されることになりました。一部の大学、英語科のある大学ではスピーキングも以前から実施されていましたが、今後は大学の入試に4技能を実施する大学が増えてくるものと思われます。文法、読み、書き、リスニングができるだけでは通用しなくなりました。これからは、英語で自分の意見を表明したり、プレゼンテーション、人前でスピーチをしたりすることなどが当たりまえになってくるかも知れません。
スピーキングの練習方法
私が勧める英語学習法は、中級から上級向けに情報を提供していますので、英語学習の初級者には不向きだと思います。このスピーキング学習法もしたがって、中級者以上の方たちを対象にしています。
- テレビなどのメディアで注目されている話題について英語でしゃべってみる
- 英字新聞、特に社説で取り上げている問題について、その記事を読み自分の意見、感想を言ってみる
- 英検の準1級、1級で問われているエッセイ問題について自分の意見を言ってみる
- NHKの音声多重放送を利用し、シャドーイングをする
- 自分で社会性の高いトピックを決め、2分間くらい英語で話す練習を積む