通訳案内士

その道約30年のベテラン通訳案内士が、通訳案内士の資格の取得、お仕事に就きたいとお考えの方たちのために少しでも役に立てればと思い、全国通訳案内士試験の概要と難易度や勉強法、そして実際に合格した後の仕事の場について詳しく伝えてくれています。ぜひお役立てください。

全国通訳案内士試験の沿革

この試験が始まったのは1949年(昭和24年)です。今から71年前のことです。当時は通訳案内業という名称で英語だけの試験でしたが、現在は英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ドイツ語、中国語、ロシア語、朝鮮語、タイ語の10か国語で行われています。全国通訳案内士は民間外交官としてふさわしい人物出るかどうかいう点から合否が厳しく判断されています。かつて、通訳案内業試験はその合格率の低さからも司法試験、公認会計士試験と並んで国家三難関試験と言われていました。合格率は昭和時代までは3%から5%でした。昨年、2019年度の合格率は全語学で8.5%、英語では9.2%でした。それでも、30年ほど前に比べますとまだ高い合格率です。現在、通訳案内士試験に合格し、登録している人は約2万5千人余りと言われています。しかし、ガイド業に従事している人はそのうちの2割程度です。

通訳案内士という仕事。

通訳案内士という仕事は海外からの訪日客を相手に、その国の言葉を使って観光地などを案内して報酬を受けるライセンスガイドのことです。通訳案内士の資格を持たずに「報酬を得て」通訳案内を行うことは通訳案内士法第36条で禁止されています。これに違反して無資格で行った場合には50万円以下の罰金が科されることになります(同法40条3号)。2019年度の海外からの訪日客はおよそ3,100万人でした。しかし、今年、2020年には4,000万人の外国人訪問客を見込んでいましたが、コロナウイルスの影響もあり、訪日数はかつて経験したことがないほど激減しています。

通訳案内士試験の概要

外国語筆記試験について

現在の筆記試験は英語の場合、すべてマーク・シートによる試験となっています。問題は大問5つで構成されています。読解問題が2問、英文和訳問題が1問、和文英訳問題が1問、日本事象説明問題が1問となっています。英文問題の関して言えることは、以前のものと比較しますと、かなり平易な英文になっています。私が受験した30年ほど前の英文は、英文学専攻の学生でも難解な英文学作品から出題されているものが大半を占めていました。現在の読解問題と比べると難しかったように思います。現在の読解問題はほとんどが観光に関する英文となっています。そのためか、合格点も以前は60点であったものが、70点になっているのもうなずけます。今後も配点が変わらなければ、読解問題が25点、英文和訳問題が15点、和文英訳問題が30点、日本事象を英語で説明する問題が30点の合計で100点満点となっています。この配点から後半の問題でより多くの点を獲得することが合格への近道になると言えましょう。そのためにも、和文英訳、日本事象の説明には日ごろから練習を積んで自信をつけておきましょう。

口述試験の概要

次の口述試験について英語を交えて詳しく説明します。

1.試験委員は2名です。

日本人の試験委員をAとします。Aは口述試験で用いる外国語に関する専門家、主に現役の通訳ガイド等が担当します。ネイテイヴの試験委員を Bとします。Bは外国語を母語とする、主に大学の教官が担当しています。

2  試験時間は

受験者一人につき8分から11分程度。試験室に設けた待機場所(教室の外)で4名を待機させ、順番に1名ずつ入室させて試験を行います。その後の4分程度で試験委員は評定結果を「評定票」に記入します。4名の試験を評点記入の時間も含めて1時間程度で終わることになっています。ハローでは廊下で待っている時に、前の受験生の「逐次通訳」の内容とプレゼンの内容を集中して聴くように指導していますが、これは無駄です。同じグループでは同じ内容の「通訳」、「プレゼンテーション」は行われないことになっています。しかし、発声から面接委員がどんな人かは想像できるかも知れません。それによって心の準備はできるかもしれませんね。

3.試験日は

例年、12月の第1日曜日か第2日曜日のいずれかに行われます。ちなみに、令和1年度は12月8日の第2日曜日に実施されました。
4.口述試験の流れです。

① 試験員Aが廊下に待機している受験生を呼び入れます。同試験員が名前、生年月日を尋ね、写真票で本人であるかを確認します。そのあと、試験員Aが試験問題第一問の説明をして、問題文を読み上げます。この間、受験者はメモを取っても構いません。筆記具とメモ用紙は面接室で渡されることになっています。ただし、試験中に取ったメモ用紙は会場に置いて帰らなければなりません。

② 試験委員Bから日本語でテーマが書かれた3枚のカードを渡されます。受験生は、この中からひとつのテーマを選び、30秒で準備をします。(プレゼン問題)

③ 30秒経過したら、試験委員Bが3枚のカードを渡します。その中から一つ選びそのテーマについてプレゼンを行います。一応、時間は2分となっていますが、内容によっては90秒くらいでもよいことになっています。しかし、2分たっても終わらない場合は、ストップがかかります。プレゼンで大事なことは、テーマによっては日本語でも説明するのが難しいようなものも含まれていますが、そういったテーマに出くわした場合でも、絶対に沈黙しないことです。そのテーマについて分からなくても関連するようなことを話すことがポイントです。沈黙すれば、評価は1です。1を何かの項目で、1つでももらえばそこで不合格になってしまいます。テーマによってはネイテイヴの先生も分からないことがありますので、とにかく何か話すことが大切です。ネイテイヴの試験委員の方は大半が大学で英文学や英語学を教えている先生と思われますから、必ずしも日本の文化に造詣が深いわけではありません。苦手なテーマであったら自分の陣地に引き込み、関連しそうな話をすることです。

④ プレゼンの後、試験委員Bと質疑応答があります。4分が予定されていますが、実際には3分足らずで終わっています。 プレゼンで、うまくできなかった場合は、ここで挽回をはかりましょう。合格のチャンスがめぐってきます。ここで質問の趣旨が理解できなかった場合や、良く聞き取れなかったときは聞き返してもよいことになっています。積極的に質疑応答に参加することで、通訳案内士になりたいという意欲が伝わります。それからもう一つ大切なことは、質問をしている試験委員Bだけでなく受け答えの様子を観察している試験委員Aにもなるべく均等にアイコンタクトをとりましょう。これも試験に受かりたいという意欲の表れになります。受験生の中にはネイティブの先生だけに視線を向けて日本人の面接委員は無視する受験生がいますが、合格は日本人の先生とネイティブ先生の2人評価で決まるのです。日本人の先生の心証を悪くしたら不合格になる場合もあります。

⑤ プレゼン問題がおわったら、つぎに逐語訳問題があります。試験委員Aが日本語で読み上げます。日本文を約1分半程度で外国語に逐次通訳してもらいます。質問は一切許されません。日本文の長さは、4~5センテンス、語数は80語から100語程度です。

⑥ 最後に通訳案内士の業務に関する実務問題があります。この問題は2018年度から取り入れられました。通訳案内士が遭遇する問題を提示し、受験生が実際に通訳案内士であれば、どんな風に対処するか当日の試験員を相手に説明してもらう問題です。

受験生はここで終わりです。試験委員Aが受験者の退出を促します。そのあと、国際観光振興機構の係員が控室まで案内します。4人が全員終わるまで控え室で待たされます。問題の漏えいを防ぐためです。

⑦ そのあと、試験委員A及びBは合否の結果を評定票に記入します。プレゼンを聞きながら、評定票に合否をすでに記入している試験委員もいます。

5.評定について

1.通訳案内士としての適性について聞かれます。

① 口述試験における話し方や受け答えの様子から「観光知識」について評価されます。

4点から1点で採点されるようです。2点以上取らないと不合格のようです。

② 「コミュニケーション能力」について、受け答えの様子から評価されます。

票点は①と同じです。いずれかに1点があれば不合格となります。

2. 外国語運用能力について

① 発音及び文法の正確性② 語彙力、翻訳能力③ 表現力

④ 聞き取り能力⑤ 臨機応変な解答能力が評価されます。

以上、1と2の項目ですべてが2以上であり、しかもその合計が1の(通訳案内士としての適性)においては5点以上、2の(外国語運用能力)の場合は12点以上であることが合格の条件となっています。かつ、試験委員A,Bの一方が不合格点を付けた場合には、不合格となります。

平成30年 (2018年度) から試験の一部が変わりました。変更された点は以下のとおりです。

 

1.プレゼンテーションと逐次通訳の順序が逆になりました。以前は逐次通訳が先で、プレゼンが後でしたが、プレゼンが先に行われることになりました。

2.平成30年度 (2018年)から、新たにホスピタリティという項目が増やされました。これは通訳案内の現場で遭遇する状況、トラブルなどがあったときに受験生がどのようにしてその状況を切り抜けることができるのかをみる問題です。
口述試験の流れは以下の通りで行われる模様です。

Examiner A is a Japanese native speaker who can speak the foreign language for the exam.

Examiner B is a native speaker of the foreign language for the exam. Candidate is C, one who takes the Oral Test

 

A:  Please come in!

C:  Examinee: enters the room.

A:  Please have a seat. Please put your belongings on the chair. Please state your name, your date of birth and where you are now living in.

A & B: Check the name and the picture of the candidate.

A: 「それでは、試験を始めます。まず、テーマを書いた紙を渡します。」

B: Hand the“3 topic paper” to the candidate.

A: 「紙に書かれた3つのテーマから一つ選んで、そのテーマについて2分間プレゼンテーションを行っていただきます。準備時間は、テーマを選ぶことを含めて30秒です。横の置いてある紙と筆記用具を使ってメモを取っても構いません。それでは準備を始めてください。」ストップウオッチで時間を計り始める。(30秒)「30秒たちました。選んだテーマを受験外国語で言ってからプレゼンテーションを始めてください。時間を計り始める。

C:  2分間のプレゼンテーションを始めます。

A: 「2分がたちました。プレゼンテーションをやめてください。」

B:  I am going to ask you some question about your presentation.”

C:  He or she answers the questions for about 2 minutes.

A: 「ありがとうございました。では、次の質問に移ります。これから日本語の文章を1回だけ読みあげます。読み上げが終わったら、直ぐに受験外国語で訳してください。時間は1分です。先ほどのメモにメモを取っても構いません。では、日本語の文章を読み上げます。」

¥40秒後。「それでは訳してください。

C: 通訳始める。

*1分を大幅に過ぎている場合は、「通訳の途中ですが、1分が過ぎましたので、終えてください。」とし、最大1分30秒で終了とします。

A: 「これから、通訳案内の現場で遭遇することが想定される状況について書いた紙をお渡しします。全国通訳案内士として、あなたであればどのように対処しますか?外国人試験委員をあなたのお客様だと思って話しかけてください。紙を受け取ったあと、30秒以内に回答を始めてください。先程の紙にメモを取っても構いません。

B: Hands the “situation/ role- paper” to the candidate.

A:  30秒経ちましたので、始めてください。
C: 試験委員Bに話しかける。

A: 会話は試験開始から、12分を目安に試験委員Bに終了の合図をします。

「これで全て試験を終了します。メモをされた用紙は回収しますので、持ち帰らずそのままにしておいてください。忘れ物がないようにまた、教室を出たあとは係り委員の指示に従って移動してください。お疲れ様でした。」

A・B 各自の採点を評点表にマークする。ここまで14分で終了。
A: ドアを開けて次の受験者を呼び入れる。

全国通訳案内士になるための勉強法

通訳案内士の勉強法

全国通訳案内士になるためには、国土交通省が実施する国家試験に合格しなければなりません。では、その国家試験がどんなものであるかをまず知らなければなりません。年に一度実施されます。それだけに、英検などと違ってチャンスは一年に1回だけです。願書の受け付けは、5月の中旬から6月の中旬くらいの40日間となっています。一次の筆記試験は8月の中旬から下旬、その発表は11月の初旬となっています。そのあと、二次の口述試験があります。例年12月の第1日曜日か第2日曜日に実施されています。最終的な合格発表は、翌年の2月の初旬に行われます。以前は一次試験、二次試験、三次試験と三段階に分かれていましたが、これでは時間がかかりすぎるということで、試験は二回で完了することになりました。一次試験は外国語筆記試験、二次試験は、現在の地理・歴史等を含む一般教養試験、三次試験は現在の口述試験でした。一次試験と二次試験に合格できなければ、口述試験までたどり着くことはできませんでした。教養試験には1,000程度で書く小論文試験も課されていましたから、現在の一般教養試験とは大違いです。

では、それぞれの項目について細かく説明していきましょう。まず、語学の試験ですが以前の問題はかなり難解な文学作品が中心であったように思います。出題される語彙も、英検1級の語彙問題に匹敵するものばかりでした。英語に限って言いますと、現在は英検1級、もしくはTOEICのスコア900点以上で筆記試験は免除されることになっています。これは納得できるレベルです。
次に教養試験ですが、日本地理、日本歴史、産業経済・政治・文化、そして2018年から実務試験が加わりました。日本地理の問題は学校では習わない景勝地、国立・国定公園などの特徴を調べておく必要があります。日本歴史は高校の教科書、日本史Bをまんべんなく勉強しておけば合格点は取れます。特に教科書に添付されている歴史的建造物の写真を見てどの時代のものか、また場所はどこかなどを確認しておくことが必要です。産業経済・政治・文化に関しては、日頃から新聞やテレビのニュースなどを見て時事問題に関心を持っておくことです。最後の、実務問題の試験ですが、ここ2年分を見てみますと常識的な問題ばかりで取り立てて勉強する必要もなさそうな科目です。心配なようでしたら、観光庁が発行しているテキストがありますので、そちらで勉強されてみたらいかがでしょうか。

全国通訳案内士試験の難易度について

全国通訳案内士試験を英検やTOEICと比較してみましょう。よく、受験生から「英検やTOEICと比べたらどれが一番難しいですか」とよく質問を受けますので、持論を述べます。試験内容や目的が違いますから、一概にどちらが難しいとは言えませんが、以前、私が通訳案内士(以前の通訳ガイド)の試験を受けていた頃の1980年代までは、英検の1級よりは難しかったように思います。と言いますのも、当時通訳ガイドの試験を受ける人は先に英検1級を取得してから、この試験に臨んでいたからです。同じ職場で働いている通訳案内士に聞いてみますと、ほとんどが英検1級の資格を持っているそうです。

でも、現在はどうでしょうか、合格率だけで見ますと3年ほど前までは英検の方が低かったように思いますが、ここ2,3年は通訳案内士試験の合格率が低くなってきています。ただ、英検の場合はエッセイなどの記述問題があります。全国通訳案内士試験(英語)は、数年前からすべてマーク・シートによる試験となっています。与えられている最近の語彙や英文から判断しますと、英検1級の方が難しいと言えます。しかし、通訳案内士試験の場合は、語学以外に日本地理、歴史、政治・経済、文化、一般常識などの科目もあり、語学力だけでは合格できません。以前は通訳ガイドの試験でも難解な語彙問題が出題されていましたが、最近は観光に関する実務的な英文が中心となっています。

共通しているのは、どちらにも口頭試験があるという点です。一次試験に合格している受験者だけこの口頭試験を受けることができます。口頭試験はどちらもかなり似ています。与えられたトピックについて、2分程度でショートスピーチをすることとその後質疑応答が待っているところも共通しています。違うところは通訳案内士の場合は、簡単な逐語通訳が課せられる点です。ネイティブの試験官と日本人の試験官の2人で評価することになっています。片方が合格点を出しても、もう片方の試験官が不合格を出した場合は合格とはなりません。

 

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英検 TOEICとの比較

英検とtoeicの比較

ここで、ではTOEIC900と英検1級ではどちらが難しいかと言う質問もありそうですが。私の意見では英検の方が上だと思います。TOEICで900のスコアを取っても、英検1級に受かる保証はないと思います。しかし、私が教えてきた生徒で英検1級に合格した生徒は、TOEICでは900以上のスコアを取っています。スコア900でも英検1級には受からないのは、TOEICにはSpeaking とWriting のテストがないからです。S&W テストも受けていない受験生はまさしくそうなります。

通訳案内士の口頭試問試験で、TOEICで免除された受験生は英検1級で免除されてくる受験生よりも合格率が低いことも英検1級の方が上だという証でしょう。つまり、語学だけで見ますと、英検1級>通訳案内士試験>TOEIC900といったところでしょうか。私の指導の経験則に基づいて話をしていますので、異なった意見を持っている方も当然おられると思います。

2018年から、通訳案内士の国家試験を受験する場合、英検1級の合格者は、一次試験(筆記試験)は免除になります。このことから、通訳案内士試験も英検1級も観光庁は同等と考えているのではないでしょうか。TOEICの場合は、スコア900を取っていれば、これも免除になります。

全国通訳案内士試験に合格したら

まず、都道府県の旅行業担当課に必要書類をそろえて登録申請をします。東京の場合は産業労働局観光部振興課に申請します。そこで登録証を発行してもらって初めてガイドの仕事ができるようになります。この登録をしないで有償でガイドの仕事を行った場合1年以下の懲役または50万円の罰金が科されます。以前は登録証ではなく、免許証が発行されていました。今でも私はガイドの仕事をしているときは免許証を携帯しています。

以前の免許証を登録証に変える必要は必ずしもないそうです。登録証に変えようと思えばいつでもできます。旧免許証の方が威厳がありますから、いまだに登録証には変えておりません。もう一つ大事なことを加えておきます。合格したら必ずどこかの研修を受けてください。研修を受けていないと、どの旅行会社も、旅行代理店も採用してくれません。全国規模のガイド協会が3つありますが、いずれも新人研修を行っています。例えば、

JFG 全日本通訳案内士連盟 

JGA 日本観光通訳協会

IJCEE 日本通訳案内士協会

のいずれかで研修を受けておくことがガイドとして採用される条件だと思って下さい。

合格後の就職先、活躍の場は

全国通訳案内士はほとんどがフリーランスで仕事を請け負っています。中には大手の旅行会社、旅行代理店やバス会社などでほとんど専属として活躍しているガイドもいます。ガイドの仕事は季節によって繁忙期と閑散期があります。繁忙期は桜の季節3月から5月と紅葉の季節の10月から11月です。反対に閑散期は、12月から2月です。このように季節によって忙しい時期と暇な時期がありますから、年間を通して必ずしも安定した収入を得られるわけではありません。そのため、せっかく難しい国家試験に合格してもガイド業に従事しない人たちも大勢います。現在2万5千人以上が全国通訳案内士の資格を持っていますが、実際現役で活躍している人は2割程度しかいません。

そこで、通訳案内士の資格を持っている人たちがどんな分野で仕事をしているのか調べてみました。やはり一番多いのは、旅行会社や旅行代理店でフリーランスとして働いている人たちです。次に運輸関係に携わっているグループ、航空業界や私鉄、市バスなどの公共機関で働いている人たち。ホテルのコンシアジュとして働いている人、こういった人たちは海外からのお客様の対応をしているものと思われます。

さらに特別な知識を持っている人達はそれぞれの特殊な分野で通訳として活躍している人たちもいます。裁判所や警察署などで法廷通訳や刑事通訳などの仕事をしている、また芸能界で通訳している人、スポーツ関係の通訳(私自身もスポーツ関係の通訳を委嘱されたことがあります)をしている人などさまざまな分野で活躍しています。

また、資格を取ったものの元の職場に収まっている人たちもいます。一番多いは学校の教師です。中学校や高校の教師です。収入が不安定なため教師を辞めてまで旅行業界で働きたいとは思っていません。彼らは全国通訳案内士の試験に合格することが目的で実際にガイド業に就くことは考えていないようです。私の友人にも高校の英語の教師がいますが、彼が言うには、この国家試験に合格すれば教師としての拍が付くそうです。確かにそうかもしれません。教員採用試験よりは難しいのは事実だと思います。

今、英語の教師は文部科学省から少なくても英検準1級もしくはTOEICで760点以上をを取るように指導していますが、中学校の英語の教師でこのどちらかを満たしている教師はわずか38%、高校の教師でも58%だったと言います。8年ほどまえの文科省の古い資料に基づいて書いていますから、現在はこれ以下のことはないと思いますが、そんなに向上しているとも思われません。教師ならば少なくとも英検1級は所持してほしいものです。このことからも、現場の英語の教員が全国通訳案士の国家試験に合格することは決してたやすいことではないということが分かると思います。

 

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全国通訳案内士の国家試験を目指している受験生へのメッセージ

最後に、これから全国通訳案内士の国家試験を受験しようと思っている人たちにメッセージを送ります。まず、私がなぜ通訳案内士、私が受験した当時は通訳ガイドと言っていましたが、この試験に興味を持ったかと言いますと、旅行が好きだったことと母譲りの人の世話をするのが好きで英語が好きだったからです。大学生時代はとにかく金もないのに日本国内は北海道から九州まで津々浦々旅をしていました。旅先々で名所旧跡を訪ね、土地の文化や訛りや生活様式などに興味を持ったものでした。なかでも、さまざま人たちとの出会いがあり、その土地の人たちの温かいもてなしに触れるのも旅の醍醐味でした。いつかは旅行者のお世話をする仕事ができないかと考えていました。

大学を出てしばらく高校の教師をしていましたが、通訳ガイドという試験があること知ったのは英検1級に合格してから、ずいぶん後になってからのことです。英語力を試すつもりで31年前(1989年)に初めて通訳ガイド試験を受けました。一次の筆記試験は合格しましたが、面接試験で失敗しました。理由はわかっていました。面接官とちょっとした口論をしでかしたからです。今思えばこの試験はガイド業界に入る就職試験とは思っていなかったのです。翌年再度受験しましたが、今度は3次試験の一般教養試験で不合格になってしまいました。敗因は政治と経済の問題でした。翌年、一般教養試験を受けて合格しています。今でこそ、この業界では、収入の面でトップ4%の中に入っていますが、決して楽に合格したものではありません。

確かにこの試験はそんなに簡単ではありませんが、それだけに挑戦する価値は十分あると思います。私がこの試験に合格したのは29年前のことですが、以来ずっとガイド業を続けております。3年でやめる予定だったのが、ここまで続けているのは、単純にこの仕事が楽しいからです。様々な人たちとの出会い、ツー終了後のハッギング、感謝の言葉、サンクスレター、ツアー客とともに笑い楽しい時間、どれをとってもガイならではの冥利に尽きるところです。一度ツアーガイドの仕事をしたらきっと病みつきになります。みなさんもどうか全国通訳案内士試験にチャレンジしてガイドを目指そうではありませんか。

 

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