受験英語の弊害と英語教育の問題点

当スクールEIアカデミーの授業は、高校受験や大学受験に合格できるレベルの英語を教えるだけではなく、生徒たちが社会に出てからも本当に役に立つような英語を教えています。受験英語を教えているわけではありません。

受験英語の弊害

確かに受験生にしてみれば、目の前に控えている高校や大学に合格するために必要な語彙や文法、構文などの知識を身につけなければなりません。しかし、ほとんど学生たちは卒業すると同時に今まで学んできた英語の知識はどこかに置き忘れています。これは英語学習に対する認識の甘さや誤謬にあると考えます。英語は本来私たちの言語である日本語と同様に言語活動の道具とし使われるべきものです。しかし、多くの生徒たちは暗記科目として試験にいい点を取るだけにエネルギーを注いでいるのが現状です。定期試験が終われば英語の勉強はそっちのけでは本当に語学力が身に付くはずもありません。もう一つの原因は、英語を使ってインタラクション(互いに相互交流をすること)する機会の少なさにあると思います。授業中に先生や生徒同士で英語を使って相互交流の機会が増えれば英語でのコミュニケーションも現状よりはよくなるものと考えます。

受験英語から本当に役に立つ英語に

理由は簡単です。学校での英語教育があまりにも文法、訳読に拘って受験英語に翻弄されてきたからです。英語の授業と言えば、日本語で授業を行うのが慣例でした。慣れない英語で授業を行うことに抵抗があったからです。しかし、これからの英語教育は、

  1. グローバル化する社会の中で世界に通用する英語授業の徹底
  2. 語学を使って幅広く世界で活躍できる教養ある人材の育成が必要だと考えています

そのためにはいくつかの提案をしたいと思います。

1. 教員採用試験の改善を求めたい。

筆記試験にのみ頼らず、特に聞く・話すなどの言語運用能力を身に付け、授業は英語で展開できる人材の採用を目指すこと。英語科教員の資質の向上を図るため、高校の英語の教員には英検1級またはTOEICスコア900、中学校の英語科教員には英検準1級、若しくはTOEICスコア830以上を取得していることを教員採用試験の資格要件にしてもらいたいと考えています。現在、英語の授業を英語で行える教員が中学校、高校でどれだけいるのでしょうか。文科省の調査では、英検準1級またはTOEICスコア730以上を取得している教員が中学校で40%弱、高校で60%程度ということが分かっています。これでは文法訳独方式に頼らずコミュニケーションを重視した授業が果たしてできているのか疑わしいです。

2. 高校、大学の入試のあり方を抜本的に改善してほしい。

英語の実用能力がいまだに向上しないのは入試に問題があるということは以前から指摘されていますが、一向に改善の兆しが見えていません。入試が旧態依然とした文法訳読中心であるところから、これが英語の授業が改善しない諸悪の根源だという見方もあります。入試のあり方が変われば、学校現場での授業も変わらざるを得ないと思います。数年前から高校入試と大学入試にリスニング問題が採用されたのは一歩前進したと言えます。しかし、話す領域は依然として入試には採用されていません。その主な理由は、スピーキングの採点することが難しいということになっています。私は、これは学校側の言い訳にしか聞こえません。現在、高校や大学にはネイティブの教員が少なからずいるはずです。どうして、そういった教員をスピーキングの採点者に回さないのか不思議でなりません。スピーキングを採用しようとする「本気度」がないためだと考えてしまいます。スピーキングを採点してくれる教員が不足しているなら、外部のネイティブに外注することも可能なはずです。

3. 大学の英語教育の改革

英語はどの大学でも必須科目として、大学生は履修していますが、大学でも講読が中心となっています。大学には海外からの留学生たちもいますので、彼らの能力を活用して、日本人学生たちのコミュケーション能力を図るチャンスだと考えるべきです。もちろん、単なる英会話を身に付けるだけでなく異文化や歴史、政治、経済など相手国の理解を深めるよい機会ととらえるべきだと考えます。

4. 小学校の英語教育の改善

現在、小学校での英語の授業は期待するほどの結果を出していません。子供達には遊びの場と化しているのが現状です。このことは私の知り合いに小学校で英語を教えている複数のネイティブがいますが、彼らから聞いたことです。子供たちにとって、英語の授業はほとんど息抜きの時間になっているのが現実だそうです。これでは時間の無駄です。近隣諸国の初等英語教育、例えば韓国や中国、台湾などの教育は、はるかに進んでいます。もっとも、文科省は韓国や中国に後れを取るまいと始めた小学校の英語教育ですから、成果が上がっていないのは仕方がないことかもしれません。

3年前、台湾の小学5年生の男の子と話す機会がありましたが、その彼の英語はとても小学生の英語とは思えないほど説得力のある立派な英語でした。あまりにも流暢に筋道立てて英語を話すので帰国子女かと思いましたが、海外で勉強したことはないということでした。学校と英語のアカデミー(日本の英語塾のようなところ)で習っているだけということでした。

 

英語教育の問題点を様々な角度から捉えてきましたが、問題は学校現場だけにあるのではなく、日本の社会全体や企業等が英語教育の抜本的な改革を望んでこなかったところにあるのではないかという思いに至りました。

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