通訳案内士に向いている人材

通訳案内士として、語学力はもちろん、語学力のほかに日本の歴史、地理、政治・経済などの一般常識も必要なことは以前の記事に書いているとおりです。そのほかにいくつかガイドに必要な資質と言いますか性格みたいなものについて触れておきたいと思います。

朗らかでユーモアがあること。

学校の授業みたいに堅い話ばかりではだめです。ガイドはエンターテーナーでもあるわけですから、お客さまを楽しませなければなりません。あとでガイドをやっていて良かったというところで、私の体験談を書く予定にしておりますので、そちらも読んでください。

人の世話をするのが好きで、サービス精神が旺盛であること。

日本の歴史や文化などについては説明するのは当たり前ですが、外国人のお客さまと言ってもその国籍は様々です。それだけに時々変わった質問が飛び出してきます。日本人には当たり前のことが外国人訪問客には奇妙に映るようです。今でこそ、コロナウイルスの影響で日本に限らず、マスクをかけて街中を歩くのが普通になりましたが、以前はほとんどの外国では日常生活でマスクをかける習慣はなかったのです。そこで、よく聞かれた質問が、「マスクをかけているあの人たちはどういう集団ですか。オカルト集団?」といった質問をよく受けたものです。こんな質問にも、ばかばかしく思わず丁寧に答えてあげるのがガイドの仕事です。

心身ともに健康であること。

当然のことですが、ガイドは健康でなければ仕事ができません。ガイデイングは車内だけではありません。訪問地をかなり歩くこともあります。数百段もある階段を上らなければならない観光地もあります。また、ウォーキング・ツアーの場合はほとんど歩いて移動しますから、一日に最低数キロは歩くことになります。ですから、日ごろから心身を鍛えておきましょう。ガイドの仕事には、年齢制限がありません。健康である限り、この仕事を続けていくことができるのです。私も71歳になりますが、健康そのものです。私のガイド仲間に80代の方で今でも現役でガイドの仕事をしている人もいます。

時間観念があること。

ツアーは旅程表に従って行動しなければなりません。時間観念はとても大切です。ガイドに時間観念がないと、お客さまの時間管理もできないうえに、いろいろなところでトラブルを起こしてしまいます。例えば、食事の時間に間に合わなかったり、予定していた電車に乗り遅れたりすることがあります。私の場合は、職場には出発時間の1時間前には必ず着いています。

また、お客さまを集合時間までに集める特殊技術(?)を持っています。どんな技術かと言いますと、

「この場所は、時々お客さまが時間内に戻ってこられないことがあります。そういった場合でも、どうぞご心配なさらないでください!ここの近くには、日本独特のカプセルホテルや旅館がありますから、どうぞそちらにお泊りください。その代わり明日のツアーでお迎えに上がりますから。」

と説明すると、ドオっと笑いが起こります。これは効果てきめんです。まず、みなさんが時間内に帰って来られます。

融通が利くこと。

ガイドに求められる資質に融通が利くことがあると思います。よくある問題は、座席の移動やレストランでの席替えなどです。車内が混んでいない限り、私は窓側に座りたい方にはそのようにさせています。また、レストランで、ツアーの途中で仲良くなったグループが同じテーブルで食事をしたいと言われた場合は、レストラン側と相談してなるべくお客様の要望に沿うようにしてあげています。食事の時間は、ツアーの中では重要な位置を占めていますから、食事が楽しくなかったというのは苦情の一番に上がっているくらいです。

 

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