「通訳ガイドの魅力とは何か」と問われたら、報酬は別にして「さまざまな国の人との出会いだ」と答えるでしょう。来日客の国籍、職業、来日の目的、性格、関心事、話す英語もさまざまです。しかし、日本での観光を楽しみたいという点ではみなさんが共通しています。
ガイドという仕事は外国語を駆使して外国からのお客様を観光地などに案内する仕事ですから、外国語が堪能であることは当然ですが、言葉と同じくらい大切なのはやはりガイドの態度です。
来日してくるツアー客の国籍、職業、来日の目的、性格、関心事、話す英語もさまざまです。しかし、日本での観光を楽しみたいというのはみんなに共通している点です。
私たちがツアーを通して接するのは限られた短い時間ですが、工夫次第では密度の濃い接し方ができます。私は車中でも一方的な説明にならないように、常にツアー客から質問にはその都度お答えしています。また、その日のツアー客があらかじめ分かっているような場合は、そのグループにふさわしい話題をすることにしています。
私が担当している都内のツアーは毎回10カ国以上の国からのお客さまです。従って、一口に英語と言っても、お国なまりの強い英語であることが多い。駆け出しの頃、そんな英語には苦労しました。言葉という物は、聞き取れないと一旦思い込んでしまうとほんとに聞こえないものです。
ツアーガイドの醍醐味とは
やはり、ツアーガイドの醍醐味と言えば、「さまざまな国からのお客さまとの出会い」にあると思います。ガイドの仕事は一期一会を大切にすることです。ツアー中は常にホスピタリティお気持ちを忘れずにお客さまに接しています。当日、ツアー客の中に誕生日を迎える方がおられたら全員で”HAPPY BIRTHDAY” を合唱することにしています。また、新婚さんが乗車されている場合は私の方で、そのカップルの紹介をすることにしています。皆さんで、”CONGRATULATIONS ON YOUR MARRIAGE!“と声を掛けてあげることにしています。
ガイドが注意しなければいけないのは、語学が達者になってきますと、つい早口になり、難しい語彙を使って説明しがちですが、衒学趣味は控えたほうがいいと思います。常に一人一人のお客さまの立場に立ち「おもてなしの心」を忘れずにしています。
ユーモアを心がける
もう一つ、私が心がけているはユーモアです。英語圏の方に簡単な日本語を教えるとき、「どういたしまして」は DON’T TOUTCH MY MUSTACHEとか「それは問題ありません」は It’s MONDAY NIGHT、また「愛しています」はI SEE MYSHOEなどと言って教えています。これらはガイドたちの間では有名な表現です。私も受け売りです。(おやじギャグですが)
次のような挨拶も英語圏の方には喜ばれます。
When you meet someone in the morning, please say “OHIO” not say HAWAII.”
もちろん、オハイオ州のことです。アメリカ人に限らずオハイオ州のことはたいていの方が知っています。また、When you want say “Thank you” in Japanese, please say “Alligator “not Crocodile. と言えばすぐ覚えてくれます。こんな回りくどいことを教えなくても、最初から「ありがとう」と教えてあげればいいではないかと指摘がありますが、ごもっともです。
次に日本語での「数の数え方を教えてくれ」と頼まれることがあります。その場合、次のように英語の発音に近い単語を使って教えています。
いち(1):Itchy, I feel itchy on my face.
にい(2):Knee, I had knee operation last year.
さん(3):Son, My sun is a guitarist. or Sun is brightly shinning today.
し(4): See, Can you see the tower? or I want to go to the Sea this summer.
ごう(5): go, Let’s go.
ろく(6): Rock, You can hardly find any rock in Tokyo.
ひち(7): 取りあえず、英語の発音に近いものを探すために、We’re going to Hitch hike.
はち(8):Hatch, A little bird hatches an egg.
きゅう(9):Queue, please make a queue here.
じゅう(10): Judo or a Jew, I used to practice Judo when I was a senior high school student あまり後者のa Jew はユダヤ教の方が乗っておられたら失礼にあたる場合があるので使わないほうが懸命だと思います。