「英検1級と通訳案内士の試験はどちらが難しいのですか」とよく質問を受けるのが、試験内容や目的が違うので、一概にどちらが難しいとは言えない。以前、私が通訳案内士(以前の通訳ガイド)の試験を受けていた頃の1980年代までは、英検の1級よりは難しかったように思う。というのは、当時通訳ガイドの試験を受ける人は先に英検1級を取得してから、この試験に大半が臨んでいたからだ。
現在はどうだろうか、合格率だけで見ると英検の方が難しいとも言える。ただ、通訳案内士の場合、語学以外に日本地理、歴史、政治・経済、文化、一般常識などの科目もあり、語学力だけでは合格できない。与えられている最近の語彙や英文から判断すると、英検1級の方が難しいと言える。以前は通訳ガイドの試験でも難解な語彙問題が出題されていたが、最近は観光に関する実務的な英文が中心となっている。
共通しているのは、どちらにも口頭試験があるという点だ。一次試験に合格している受験者だけこの口頭試験を受けることができる。口頭試験はどちらもかなり似ている。与えられたトピックについて、2分程度でショートスピーチすることとその後質疑応答が待っているところも共通している。違うところは通訳案内士の場合は、簡単な逐語通訳が課せられる点だ。試験官も両方ネイティブと日本人の試験官2人で評価することになっている。片方が合格点を出しても、もう片方の試験官が不合格を出した場合は合格となならない。
昨年から、通訳案内士の国家試験を受験する場合、英検1級に合格していたら、一次試験(筆記試験)は免除になる。このことから、通訳案内士試験も英検1級も観光庁は同等と考えているのではないだろうか。TOEICの場合は、スコア900を取っていれば、これも免除になる。
ここで、ではTOEIC900と英検1級ではどちらが難しいかと言う質問もありそうだ。この件に関しては,私見だが英検の方が上だと思う。TOEICで900のスコアを取っても、英検1級に受かる保証はない。しかし、私が教えてきた生徒で英検1級を取れている生徒は、TOEICでは900取れている。なぜ、900取れても英検1級には受からないかと言えば、TOEICにはSpeaking とWriting のテストがないからだ。S&W テストも受けていない方はまさしくそうなる。
通訳案内士の口頭試問試験でも、TOEICで免除された受験生は英検1級で免除されてくる受験生よりも合格率が低いことも英検1級の方が上だということが言えよう。つまり、語学だけで見ると、英検1級>通訳案内士試験>TOEIC900といったところでしょうか。私の経験則に基づいて話をしているので、異なった意見を持っている方も当然おられると思う。反対意見があったら、教えてください。
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