リスニング力は読解力とは違う!
受験生の指導をしていて気づくことがある。それは英文を読解する力はあるのにスピーキングとリスニングが前者に比べて後者は非常に劣る生徒が多いことに驚く。その原因は学校の授業では音読をあまり実施されていないことにあるようだ。進学校で学んでいる生徒に一連の文章を読ませてみると発音もアクセントも正しくない。そんな生徒でも文章の読解には問題ない。いまだに、文法訳読方式で授業が行われているのかと疑ってしまう。音読が正しくできない生徒はリスニング力も弱いことが私の授業で判明している。
聞いてわかる語彙力を増やす
リスニングを強化するには、語彙数を増やすことは当然だが、聞き分けられる語彙数を増やすことがなにより重要である。知らない単語は100回聞いても分かるようにはならない。そのためには個々の単語の正しい発音、アクセント、抑揚、リズムで音読の練習をする。正しい発音やアクセントを身に付けるには、英語の辞書に載っている万国発音記号を読めるようにすること。発音記号の読み方が分かれば、知らない単語に出会った場合でも、正しい発音やアクセントの位置は学べる。指導している生徒の多くが英語の単語を視覚的には理解しているが、聴覚的には理解できていない。そのため、見れば容易に分かる単語でも聞かせると分からないと言った現象が起こる。視覚的に理解できる単語と聴覚的には理解できない単語のギャップがあまりにも大きい。
聞いてわかる単語を増やすには
- 単語の正しい発音ができるようにする。
- デイクテーションをする
- オーバーラッピングの練習をする
- シャドウイングをする
- リエゾン、リダクションなどの知識を学ぶ
それぞれの方法について、具体的に説明
1の単語の正しい発音の仕方については、前段落で説明しているとおり、ほとんどの英語の辞書には発音記号が付記されているのでそれを参考にしてもらいたい。また、辞書の巻末には発音記号表が添付されている。大学受験生の授業では、発音記号の読み方、アクセントのルールなどについて詳しく説明している。2のデイクテーションとは、ある程度の長さの英文を聞きながらその英文を書きとっていく練習のことである。内容は興味のあるジャンルや関心度高いトピックを選んでやるといい。3のオバーラッピングとはテキストのスクリプトを読みながら、聞こえる英語を音声と同時に発声していく練習のことです。これはリスニングとスピーキングの力を同時に強化していく方法として知られている。4のシャドウイングは話されている英文を影のように追って発生していく方法。この方法の利点は、発話されている音を認識する能力と音声の意味を理解する能力が身に付く点である。5のリエゾンとは単語と単語が連結するとき、前が子音で後が母音である単語の時、連なって発音されること。私が大学生の時、「卒業」という映画を見た時、「ガリ、ガリ」という言葉が何度もきいたが、長い間どんな意味だか分からなかった。その単語が( I ) got it. であることを理解できるようになったのは、ずいぶん後になってからである。「ガット イツト」が「ガリ」と発音されていた。これがリエゾンである。リダクション(脱落)とは音は発生されなくなる音声変化のこと。例えば、子音と子音で終わる場合、used toは「ユースツ」、語尾が破裂音で終わる場合、例えばhit youは「ヒッチュー」と発音される
ろうあ者は話せない人ではなく言葉が聞き取れない人
私の叔父の一人は、ろうあ者であった。子供のころその叔父とのコミュニケーションにはずいぶん苦労した。現在とは違って、手話はまだ普及していなかったので、ほとんどがジェスチャで意思疎通を図っていた。意思疎通がうまくいかないために、トラブルになったことも何度もあった。私は長い間、ろうあ者はただ口が利けない人と思っていたが、正しい音を認識できないから、その音を再生できないのだということが大人になってから分かった。