ツアーバス

通訳案内士としてガイドをやっていると、トラブルになることもあります。外国人のお客様のお相手をするので、文化や宗教的な違いもあるので気を付けないといけない部分でもあります。

そのうちの一部をご紹介します。

通訳案内士を目指している方への参考になればと思います。

食事問題。宗教上、レストランでは食事ができないお客さま

食事がついているツアーに、イスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教のお客さまが参加される場合、私たちガイドは気を遣います。イスラム教の方にはポーク、ヒンズー教の方にはビーフを出すことはできません。また、ユダヤ教の方にはコーシャーフードという特別な料理でなければ出すことはできません。一般のレストランではこのコーシャーフードを提供することはできませんので、ユダヤ系のお客さまは自分たちで食物を持参されているのが普通です。インド人の方はヒンズー教の方が大半で、ベジタリアン・フードを要求されますが、中には同じベジタリアンでも、先に別の項で触れていますが、ビーガンの方の食事はレストランと十分打ち合わせをしておく必要があります。また、イスラム教の方で特に敬虔な方は近くでポークを見るだけで具合が悪くなる方もおられます。実際、私がお世話したイスラム教の方たちも、食事の途中で具合が悪くなって離団されたイスラム系のグルーもありました。

ツアー中に病人が出てしまうこと

ツアーの途中で急病人が出るといったこともあります。ガイドは常にどんな状況でも冷静に対応できるように心得ておく必要があります。私のツアーでも急病人が出たことがありました。二重橋に向かって歩いているときに、日射病の症状が出て救急車を呼んだことがありました。途中で引き返し、救急車が来るまで楠公駐車場で休んでもらい、会社にも連絡を入れて応援に来てもらいました。会社のスタッフが救急車に乗り込み病院まで付き添っていったことがありました。私はツアー中にお客さまがなくなられるということに遭遇したことはありませんが、私の先輩は車中で高齢のお客さまが突然亡くなるという非常事態を経験しています。いつこういった事態がいつ起こるか分かりません。

集合時間をなかなか守ってくれない方がいました。

時間観念というのは必ずしも国民性だけでは簡単に説明出来ないと思います。日本人の中にもなかなか時間を守らない人がいます。私の先輩もその一人です。遅れること、10分20分は当たり前です。もちろん、ツアーのお客さま中にも当然いらっしゃいます。集合時間を守らない方は、一度や二度ならずどこへ行っても守ってくれません。
旅程をスムーズに運行するためには時間管理は最重要事項です。食事の時間や船の時間などに制限がある場合、10分待っても帰って来られない場合は、やむを得ずその場所に残して出発する場合があります。最近は時間を守ってもらうために工夫していますので、遅れてくる方がなくなりました。出発時間までにバスまで戻って来られない方は、「この近くには旅館やカプセルホテルもありますので、どうぞそちらにお泊りください。その代わり明日のツアーでお迎いに上がります。」といいますと、もちろん冗談と分かりますから、ドオっと笑いが起こります。また、「時間内にお戻りになれなかったお客さまは近くにタクシー乗り場がありますので、そちらでタクシーを拾って次の訪問箇所まで来てください。6千円、60ドルくらいはかかると思いますが、日本のタクシーも捨てたものじゃないのですよ。ほとんどのタクシードライバーは英語が話せませんから、コミュニケーションは取れませんが、目的地まで間違いなく連れて行ってくれますよ。」と誇張して出発時間を守ってもらえるようにしています。また、日本は時間厳守の国ですから、出発時間に遅れたら電車や飛行機は待ちません、とも付け加えています。

喫煙場所が東京にはないと不満を言う人がいました。

よく聞かれる質問が「どこで喫煙できるのですか」です。確かに喫煙者にとっては喫煙場所を見つけるのは難しいと思います。特に、東京の街中では禁煙ですから、喫煙者にとっては大変でしょう。歩道にSmoking Area を設けてある場所もありますが、その絶対数はとても少ないのが実情です。また、東京23区の場合路上で喫煙した場合、2千円の科料がとられます。諸外国では歩道上での喫煙は許されても酒類をのむことは違反のようです。東京の場合、歩道での飲酒は許されても喫煙は許されていません。

財布をなくして見つからなかったことがありました。

ツアー中に物をなくすといった事案が時々発生します。ほとんどが持ち主に返されるのですが、中には見つからない場合もあります。東京タワーのような施設ので物をなくした場合は、まず遺失物センターに届け出ます。すぐに発見されなくて後で連絡を受けることがあります。日本が安全な国の証だと思いますが、一度鎌倉に行ったとき、長谷寺観音のトイレにお財布を忘れてきたというアメリカ人のご夫婦がいました。そのことに気づいたのはバスが出発してからのことでした。鎌倉と言えば、道が狭いこととバスなどの大型車は引き返すことができないことでよく知られています。たまたま、そのツアーを担当した時、私とは別にツアーコンダクターもいましたので、彼女とそのご婦人にはいったん降りてもらい長谷観音まで引き返して行きました。結局財布は見つからず、近くの交番所に届け出て東京まで帰った苦い思い出がありました。

座席の場所が悪いとクレームつける人がいました。

通路側になっているお客さまから時々窓側に変更してくれないかと要求されることがあります。その日の参加者が少なく窓側に空席がある場合は、もちろん座席を移してあげることができますが、問題はほぼ満席の場合、お断りすると憤慨されるお客さまがたまにおられます。また、後部座席の方が一番前の席に移してくれないかと要求されることもあります。こういった場合、理由を聞きます。大半の理由は眺めがよくない、またはガイドの話がよく聞けないからというものです。私の話がよく聞こえないとクレームがあるときは再度とマイクの音量調整をします。しかし、この後者の理由は前方の席に移りたいからの言い訳に過ぎないことが多いです。足の不自由な方が後方の席に座っておられる場合は、一番前の席に座っておられる方に事情を説明して交代してもらうことはあります。こういった場合は、意外と先頭の席に座っておられる方は応じてくださいます。しかし、わがままと思えるような理由の場合はきっぱりとお断りする必要があります。

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