[ツアーガイドが語る] 外国人から見た、ここが不思議日本

外国人ツアー客が日本に来て不思議がることをまとめてみました。

1. 日本人は名刺が大好き

日本人のビジネスマンはよく名詞を初対面の人にも配ります。確かに、日本の会社では社員に名刺を持たせています。役付きの人ほどその枚数も多いようです。日本では初対面の相手にも名刺を渡す習慣があります。その名刺には、会社名、住所、電話、FAX番号、イメールアドレス、その人の肩書などが印刷されています。最近の名刺には、写真付きの名刺も出回っています。私が勤めている会社でも毎年、100枚の名刺をそれぞれのガイドに渡されています。私は、名刺を使うほうですから、1年に300枚くらいは必要です。こういう私も人と出会う機会があればよく名刺を渡している類に入ります。外国では名刺を持ち歩いているビジネスマンは日本ほど多くないようです。日本人から名刺をもらった時、外国のお客さまは戸惑う場面に出くわすことがあります。観光で来られている方が名刺を持って日本に来られているわけではありませんから、名刺を受け取って返す名刺を持ち合わせていないために困ってしまうことがあるそうです。

2.日本人はみんながハンカチを持っている

日本人のほとんどがハンカチを持ち歩いていると思われます。トイレから出てきて手を拭くのもハンカチです。日本人にとっては当たり前のことですが、これが外国人の目には不思議に映るようです。では、外国人のお客さまはトイレの後どうやって手を拭くかと言えば、これがまた日本人には滑稽に映るのです。彼らがトイレから出てきてまずすることは、手についている水を切るために上下に勢いよく手を振るのです。そのあと、まだ水が切れていないときはその手を脇に挟んで水切りをするのです。両手を両脇に挟んで水分を切るわけです。この方が非衛生的で私などは到底真似はできません。

 

3.小さい子供が一人で電車に乗って通学している

朝の通勤で電車で小学校の低学年と思えるような子供が大きなランドセルを背負って通学していることに遭遇することがあります。諸外国では、とくにアメリカではこういったことは絶対にありえないそうです。こういうことは児童虐待で刑事罰になります。もちろん、その子の親は逮捕されるそうです。しかし、小さな子供でも一人で電車に乗って通学できるということは日本の社会がいかに安全であるかということを物語っているのではないでしょうか。また、受験のシーズンになると、深夜に近い時間帯に中学生や高校生たちが塾での勉強を終えて、電車で帰宅する光景を目の当たりにすることがあります。これも、日本が安全な社会であることの証しだとも言えます。

 

4.日本人はルールをよく守る

外国からのお客さまを連れて横断歩道を渡るときに、いつもひやひやします。ツアー客が少ないときはまとめて安全に陽動することができますが、大勢の場合は全員を安全に誘導するとことが大変難しいのです。ツアー客の中には赤信号でも平気で渡り始める人もいるからです。彼らの中には横断歩道上に人がいれば車は止まってくれると思い込んでいる人もいます。そう言えば、思い当たる経験をしたことがあります。30年ほど前に、フランスのパリの街を歩いているとき、日本ではまずしないような経験をしました。その時の話をかいつまんでお話ししましょう。横断歩道の手前で歩行者用の信号が赤だったかDON’T WALKだったか忘れましたが、いずれにしても日本では「渡ってはいけない」の表示です。そこで私は横断歩道の手前で信号が変わるのを待っていたのです。ところが一台のトラックが歩道のすぐ手前で突然止まって、私に「渡りなさい」という指示を手で促しているのです。私は対面の信号が「とまれ」を表しているから渡らないという意思表示を手を振って示したら、そのトラックの運転手が怒っているではありませんか。トラックが立ち去るとき、ドライバーは何かどなっていました。たぶん、俺の親切が分からないのかと言ったようなことだったと思います。このように、日本では、信号が赤であれば青になるまで待ちます。これは日本人の国民性かもしれません。

5.辛抱強さは日本人の国民性

外国人の方が驚かれる日本事象の一つに、タクシー乗り場やバス停、駅のプラットホームや遊園地などの乗り物の前で長蛇の列が見られます。なんで、日本人はどこでも並ぶのが好きなのかと聞かれることがあります。よく、どこそこで美味しいラーメン屋さんができたというようなことを聞くと、そのお店の前で長い列ができることがあります。理由はいくつか考えられます。一つは学校に入ると毎週月曜日には朝礼があります。このとき、学年、クラスごとに列を作って長い先生たちの話を聞く国民行事があります。小さいころから列を作って物事が終わるまで辛抱することを余儀なくされてきた嫌いがあります。もう一つはみんなと違ったことを嫌うのも日本人の性向かもしれません。タクシーの乗り場でも、駅のプラットホームでも列を乱して割り込むことはほとんどしません。このことは海外から日本の良さとして賞賛されているのも事実です。

6.日本は自殺王国か

日本は自殺者が多いことで世界に知られています。最近は自殺者も減り続けているそうですが、それでも昨年の自殺者数は2万1千人あまりだったそうです。15年前まで名、毎年3万人以上の人が自殺で亡くなっていました。自殺者の割合は、男性がおよそ7割、女性が3割となっています。その主な理由は、第1位が病気などを抱えた健康問題、第2位が失業や会社の倒産などの経済問題、第3位が家庭不和と続いています。
年代別にみると、働き盛りの40歳代が一番多く、続いて50代、60代と続いています。近年の傾向として、30代の若者の自殺が増えていることと、学齢の子供たち(6歳から16歳まで)が増えていることは由々しき問題だと思います。子供たちの自殺の主な原因は、いじめや進学に関するものです。こういった数字に関することはネットでも調べれば分かります。しかし、事前にこういった情報はお客さまから聞かれたら答えられるようにしておくことが大事です。私の場合も、なぜ日本では自殺者が多いのかと聞かれたことはありました。この質問を受けた時は、私は日本人の平均寿命と関連して説明しています。日本人女性の平均寿命は、2019年度で87.32歳、一方男性の平均寿命は81.25歳です。つまり、女性の方が6歳以上も長生きしているのです。これはなぜだか分かりますかと、ツアー参加者に問いかけます。上のような説明を聞いていたお客さまはピンときます。つまり、男性の自殺者が多いこともその一因ですと答えています。もし、男性の自殺者が今後減っていけば男性の平均寿命もそれなりに伸びていくことでしょうと話しています。

7.日本人はなぜ国旗を揚げないのか

この質問はほんとに多い質問の一つです。特にアメリカ人から聞かれることが多いです。ほとんどのアメリカ人の家庭には国旗があるそうです。国民祭日には、いやそうでなくても常に国旗を掲げているそうです。私たち日本人はどうでしょうか。はっきりした数字は掴めていませんが、日本の家庭で正式な国旗を保有しているところはほとんどないと思います。ですから、祭日にも私たち一般の家庭で国旗を掲揚しているところを見ません。これはアメリカ人に言わせると、とてもおかしいというのです。祖国愛というものがないのかと言われます。日本の場合、第二次世界大戦で300万人以上の人が犠牲になっています。それも日本国旗を背負って亡くなっているのです。国旗を見るとアレルギーを起こす人もいると聞いています。非常にsensitiveな問題であることには違いありません。日本の国歌である「君が代」も同じような理由で歌わない人がいるのです。数年前に都内の高校で君が代を歌わなかったことで都の教育委員会から訴えられた先生たちもいます。一部の子供たちの間では「君が代」はお相撲さんの歌になっています。

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